A.E.Williams AEW

産業革命の時代から続く伝統
英国ピューター製品

A.E.Williams(エー・イー・ウィリアムス) は、 ピューターと呼ばれる金属を加工して製品を作っている工房です。 イギリス産業革命の時代 1779年に創業したA.E.Williamsは、現存する世界で最古のピューター工房であり、 現代に至るまでのピューターの歴史・技術・鋳型などは、A.E.Williamsの家系により継承され続けています。
AEW メンバー

ピューター

ピューターとは、錫(すず)を主成分として銅とアンチモンを混合した合金。その特徴は非常に柔らかく、細やかな造形を加工し易い事にあります。 古くからイギリスに錫の鉱山があり、ピューターはイギリスを中心にヨーロッパ中で利用されてきました。 錫は人体に無害でイオンの効果で水をまろやかにする、と言われており、中世以降では食器などのアイテムが多かったようです。
日本では「ピューター」という金属の認知度は高くなく、安価な金属、と考える方も少なくありません。 しかし、実はベースメタル(貴金属・レアメタル以外)の中では、高価な金属です。
なお、AEWのピューターには、鉛は一切入れておりません。
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A.E.Williamsの功績

A.E.Williams(以下、AEW)は歴史のあるピューター工房です。 創業からの歴史に関しては後述しますが、ここでは近年のAEWの成し得た仕事・功績について分かりやすい事をお話します。

映画・テレビで使用される小道具

近年、欧米でヨーロッパの中世を時代背景にした映画やTVドラマは多いです。 その世界観の中で使用されているアイテムは、AEWの製作したピューター製品も多く含まれています。
パイレーツ・オブ・カリビアン、ハリー・ポッター、ゲーム・オブ・スローンズ。 どれも時代背景や世界観が中世~近世であり、この時代のヨーロッパでピューターの食器などが盛んに使われており、 劇中でのピューター食器はよく見かけます。 特に、今世界中で大人気であるTVドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)」では、 食事シーンも多いことから頻繁にAEWのピューター製品を目にします。(2016年現在)

教会・店舗の造作

ピューター 洗礼台
ピューター バーカウンター
伝統を重んじるイギリス人は、歴史的な建造物などの造作に伝統的なピューターを使いたいと思う事は少なくないです。 近年、AEWが製作した大掛かりな造作は 「教会の洗礼台」や「パブのバーカウンター」などがあるようです。もちろん通常の製品とは異なり、これらは特注品です。

要人への贈り物

ピューター 馬
2014年5月1日に日本の首相・安倍晋三さんがロンドン訪問した際に、 前ロンドン市長からの贈り物「ピューター製の馬の像」は、AEWが製作依頼された物です。 一国の首相に贈られる贈呈物の製作を任されるという事は、非常に誇らしいに違いありません。

A.E.Williamsの歴史

年表

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イギリスにおけるAEWの評価

上記の年表で分かるように、AEWは230年以上も昔から質の良いピューター製品を製作し続けており、イギリス文化の発展に貢献してきました。 今日では、商業的な視点と並び、国の文化的な財産を守っているとも言えます。 これらの功績により、昔からAEWはピューター名誉組合(The Worshipful Company of Pewterers)の一員になっており、現AEWの家系はロンドン名誉市民として登録されています。 これは大変名誉な事です。また、その伝統や功績で、稀にではありますが、女王や皇太子との謁見の機会もあるようです。

ピューター製品の製作工程

AEWは現在でも昔ながらの手作業による製品作りを重視しており、なおかつ新しいデザイン・製品を作り続けています。 では、ピューター製品を製作する上で、どんな工程や機械が必要なのでしょうか。 ここでは、いくつかの代表的な工程を説明致します。

鋳造(Casting)

最初の4枚の写真は現在の工法で、円盤状で中央に穴の開いた鋳型(いがた)を回転させ、中央に溶けたピューターを流し込みます。 液体状のピューターは、遠心力によって鋳型内部の空洞の隅々まで行き届きます。 ある程度冷めてから型を分解し、中のピューター製品の原型を取り出します。 この段階では表面はザラザラと凹凸がありますし、バリと呼ばれる余分な出っ張りも多いです。
現在は、ゴム製の型と遠心力を使った工法が通常ですが、以前は金属製の鋳型に流し込む(最後の2枚の写真)、という方法でした。 AEWには100年前~500年前の鋳型(金属製)も多いため、現在でも昔の鋳型を使う事もあります。

削り出し(Turning)

鋳造された円柱形のアイテムは回転する機械にセットし、余計な部分を削り取っていきます。 鋳造後は光沢もなく、突起物も多いですが、この工程で線上のデザイン(切り込み線など)がハッキリし、ピューター表面が綺麗になります。 この工程は非常に困難で、熟練したマイスタークラスでなければ安定した品質で作業ができません。

はんだ付け(Soldering)

形状が複雑な物や大きい物は、複数パーツから組み合わせて作る事があります。 各パーツを作った後には、それらを「はんだ付け」で結合します。 ピューター素材は熱に弱いので、注意しなければ「はんだ」だけでなく本体まで溶けてしまいます。 通常の素材より難易度が高いのは、言うまでもないでしょう。

研磨(Burnishing/Polishing)

グラインダー(高速回転するヤスリ、または布付きの円盤)で、荒めに削るか、表面をキラキラに仕上げにします。 また、この工程は鋳巣(空気混入等に因る鋳物にできた小さな穴)を潰し、液体の漏れをなくす為にも重要です。 表面が鏡面のように輝いている物もあれば、マット調な物もあるので、製品によって研磨するディスクや機器を変更します。 また、細かく複雑な形状のアイテムはヤスリなどを使用し、手で研磨します。

エナメル装飾(Enameling)

ピューターの表面にエナメルを塗りつけて装飾します。AEWピューターには樹脂エナメル使っており、乾燥させて乾かせて装飾しています。 この手法はコールドエナメルと呼ばれており、火や熱を使いません。融点(溶ける温度)の低いピューターにはガラスを溶かして貼り付けるホットエナメルは使えないからです。 鋳型を使う形状と異なり、エナメル装飾は完全に手作業なので、デザインに個体差がより多く発生します。

AEWピューター製品

AEWの歴史は古く、保有している鋳型も価値のある物は多いです。しかし、現代社会では「伝統」のみで会社は存続させられません。 AEWは伝統的でありながらも、現代社会でも需要がある新しいピューター製品を生み出し続けており、一般的な方にもコレクターの方にも喜ばれています。 大量生産ではない事から、製品は珍しく、ギフト贈り物として購入される方も非常に多いです。
その他の製品を見たい方、製品をお求めの方は下記リンクから弊社(有限会社トゥーシェ)のネットショップをご覧ください。
AEWピューター 商品ページへ

AEWと日本の関わり

日本とA.E.Williamsの関わりができたのは、1992年、弊社(有限会社トゥーシェ)との取引が始まった時と言えます。 それから20年以上経っても非常に友好な関係は続いており、2014~2016年の うめだ阪急英国フェア にて、AEW7代目の(次期)頭首であるサム・ウィリアムスが来日し、製作実演を行いました。
AEW サム・ウィリアムスAEW サム・ウィリアムス
数回の訪日を経験し、サム・ウィリアムスは言います。
「日本の食べ物も、物作りも大好きです。そして日本人はとても礼儀正しく親切であり、英国に興味を持ってくれている人が多いと思います。 この素晴らしい国に、是非また訪れたいです。」
日本人が英国の伝統を愛すかぎり、AEWと日本の関係は長く続いていくはずです。